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2012年8月21日 (火)

陳情禁止

 中国では大小併せて年間一万件(もう一桁多いとも云われる)を超える争議が起きている。地方進出企業と住民、地方政府と住民の間で起こる争議が毎年頻発している。地方進出企業はたいてい地方政府と結託している。だから住民たちは自力では地方政府に対抗することは出来ない。

 住民パワーが勝って、ものが解決されることも無いことはないが極めて稀である。だから住民は代表を北京に送り込んで、中央政府に実態を報告し対応を陳情する。北京にはその窓口もある。

 しかし陳情件数は膨大な数に上り、中央政府の処理能力をはるかに超えている。だから実際に取り上げられるものは、多くても十件に一件だ(もっとずっと少ないとも云う)。地方の村人がなけなしの金を出し合って送り込んだ代表たちは陳情を受理してもらうまで帰るわけにはいかない。だから陳情受付窓口の周辺には陳情村が出来上がっている。

 以前それをテレビ取材したら人々が殺到した様子が撮されていた。マスコミに取り上げられると陳情が受理される可能性が高まることを期待しているのだ。

 この秋に中国共産党第18回全国代表大会が開催される。ここで次期国家主席など主要なポストが選出される。世代交代である。このため北京警察当局は環境整備と警戒を強めている。

 そして、このたび一般市民が直訴や陳情のために北京を訪問することを禁じる措置をとることになった。また陳情窓口周辺の宿泊施設に対してそのような人たちを宿泊させることを禁止する通達を出した。違反すれば宿泊施設としての営業許可が取り消される。大会が終わるまでは、それらしい客は全て宿泊を断られることになるだろう。

 法律が不備であるのか、その法律が遵守されていないのか、多分その両方だと思われるが、地方政府は利権による収賄にいそしんでいる場合が多いから、陳情の原因は決してなくならない。

 強権を以て陳情団を北京から排除しても、ほとぼりが冷めれば陳情村は再び多くの人がひしめくことになるだろう。

 大会では地方での収賄の役人を何万人処罰した、と云う報告がなされるであろう。それは報告のためのスケープゴートであって全体が少しでも浄化される、と云うような可能性はない。これは中国の古代からの宿痾であり、住民もある程度は必要悪であるとして受け入れてきた。争議はそのある程度を明らかに越えたものに限っての話であろう。

 中国人は平等など決して求めてなんかいない。求めているのは自分が人よりいい目を見ること、それがかなわないなら少なくとも人より損をしないことだけである。

 中国人でなくて良かった。

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