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2012年8月22日 (水)

「主任警部 アラン・バンクス」(英国ドラマ)

 WOWWOWで放映されるドラマは優れたものが多い。映画が好きだし映画を見るのに忙しくてドラマまで手が回らなかったが、面白そうなものを選んでみてみたらやみつきになった。このドラマは全四話、それぞれ約一時間半である。主人公のアラン・バンクスは英国郊外、ヨークシャー署に勤務する、渋い長身の中年の警部。ほとんど笑わないし、馬鹿話が嫌いでジョークにあわせることもない。しかしユーモアが無いわけではない。滅多に無駄なことを云わない。見かけはいかにもクールに見えるが実は熱血漢で結構感情が先走り、手が出てしまうこともある。とにかく知れば知るほど格好がいいし好きになる。

第一話「地下室の悪夢」
 ブロンドの少女の連続誘拐事件が続き、それに皆が翻弄されているさなか、DVの通報が入り、巡回中のパトカーが現地に向かう。声をかけるが返事がないので郵便受けから中を覗くと女性が怪我をして倒れている。救急車を手配すると共に二人の警官(男女のペア)は家の中を捜査する。そして男性警官が地下に降りたところで突然襲われる。慌てて女性警官が助けに駆けつけ、犯人を警棒で殴りつけて逮捕するのだが、男性警官は斧で切りつけられていてなすすべもなく事切れる。やがて救急車が駆けつけ、彼らが地下室で見たものはおぞましいものだった。

 そこにあったのは全裸で切り刻まれたばかりの少女の遺体と、ビニールに包まれた三体の遺体だった。だが連続誘拐事件の被害者は五人である。もう一人はどこへ行ったのか。

 最初に怪我をして倒れていた女性は犯人と目される男の妻であり、日頃からDVをうけていたことが分かる。男は女性警官に警棒で頭を殴られたために意識不明の状態であり、残りの一人の行方を聞き出すことが出来ない。DVを受けていた妻から何とか手がかりをつかもうとするバンクス主任警部達だが・・・。

 やがて犯人がなぜ意識不明になるほど頭を殴られていたのか、なぜ少女たちは殺されたのに妻は殺されなかったのか、DVを通報した人間と夫婦との意外な関わりなどが謎として浮上してくる。いろいろな関係者がその関わりの大小に関係なく調べられていく過程でこの事件の恐ろしい背景が見えてくる。

第二話「危険な火遊び」
 川辺に繋留されていた船が火事になり、その船から死体が発見される。
その死に方が不自然であることから不審がもたれ、放火殺人であることが判明する。その時川面にぽっかりと寝袋に入ったままの若い女性の焼死体が浮かび上がる。実は燃えた舟の後ろにもう一艘舟がつながれていたのだが沈んでしまった上に持ち主から無人である、との確認が取れていたのだが、この女性が舟に潜り込んでいて被害に遭ったようである。

 それぞれの被害者の身元が明らかになり、犯人は誰を殺そうとして放火をしたのか、そしてなぜ殺したのかが捜査される。そうしてまったく接点があり得ない二人の被害者にそれぞれ殺される動機が見えてくる。やがて同じような放火殺人事件が発生する。そこに意外な手がかりが浮き上がってくる。そしてバンクスの部下が手柄を立てるために独走し、犯人の餌食になりかける。バンクスは犯人逮捕と救出の二者を選択しなければならなくなるが・・・。

第三話「背中合わせの悪魔」
 今回の犯人は、冒頭で起こる殺人事件がそのまま見えているので物語を見ている人には最初から分かっている。だから動機の解明が物語の主眼となるのだが、実は被害者は見ている人には明かされていない。

 冒頭のシーンは車椅子に完全固定された、老婆とも若い女性とも見分けがつかない女性が、身動きならないまま首を掻き切られるというものである。その女性は顔面は焼けただれ、しかも脊椎を損傷していてまったく身動きが出来ない体だった。

 この事件現場は実はバンクスにとって忘れられない場所であった。「なぜここなんだ」と首をかしげるバンクスの言葉は、ラストに事件が解明されたとき理由が明らかになる。

 この事件とは別に、ある女子大生がレイプされ、殺されて発見される。常道として発見者が疑われるのだが、その証言には矛盾があり、何か隠していることが明らかなのに決め手がない。

 その女子大生は仲間たちと前夜飲み歩いていて、途中から彼女だけ別れた後に奇禍に遭っている。その仲間たちを調べるうちに彼らの乱脈ぶりが浮かび上がってくる。

 バンクスの若い部下の一人が、連日その辺りを張り込んで不審者を見つけ出そうとする。ところが意に反して彼が不審者に思われてしまい、その上彼も首を掻き切られて殺されてしまう。

 同一犯の仕業なのだろうか。検死官の女性は切り口が違うから違うのではないか、と意見を述べるのだが・・・。この犯人も見ている人には分かっているのだ。そしていろいろな証言と証拠から犯人は追い詰められていき、バンクスは驚愕の犯人を知る。

第四話「報復の行方」
 白昼、ワゴン車の強奪事件が発生して多忙な最中、バンクスは上司のライアル警視正から個人的に自宅に呼ばれ、警視正とその妻から失踪した娘の捜索を依頼される。当然断るのだが、懇望されて引き受けざるを得なくなる。事件を部下に任せて、バンクスは一人でその娘のエイミーを捜しにロンドンにやってくる。もちろん敏腕な彼のこと、たちまち彼女の行方を突き止めるが、彼女は裏社会に通じている危険な男のもとにおり、帰ることを拒否する。やむなくバンクスは引き揚げ、その旨連絡するのだが、ライアル警視正の妻に泣きつかれて連れ戻すことを約束させられる。

 再びエイミーのもとを尋ねたとき、エイミーはドラッグと酒で酩酊状態となっていた。無理矢理引きずるように彼女を連れ去るのだが、連れ去るときに彼女の言った一言が危険な事態を招くことになる。

 エイミーをロンドンのホテルの自分の部屋に連れ込み、酔いを覚まさせて翌朝両親の元に彼女を送り届けるのだが、事態を報告しようとするのにライアル警視正は何も聞こうとせずバンクスを追い返す。

 再び捜査に復帰したバンクスだが、ワゴン車の強奪事件の犯人は殺害され、殺人事件に発展していた。最初の被害者に不審な点があり、彼を追求したところ、いかにも怪しいそぶりをする。彼が犯人なのか。

 そんな最中、再びエイミーが失踪した、との知らせが入る。バンクスの努力は無駄だったのだろうか。まもなくディスコパブのトイレで全身に打撲傷を負った女性の死体が発見されたとの知らせが入る。所持していたIDカードはバンクスがロンドンでエイミーの消息を追ったときに出会った女性のものだった。そしてバンクスがその死体を見ると、なんとそれはエイミーであった。

 バンクスは、エイミーが何か秘密を握っていたためにあの裏社会の男に殺された、と直感する。関係者を全て引っ張り、尋問を重ねていくのだが・・・。

 ワゴン車の強奪事件もエイミーの死亡にも実は深い関係があったことが明らかになる。そしてエイミーの死の真相は想像もしないような恐ろしいものだった。

 とにかく全て上出来の物語で奥も深い。多分この内容で日本のドラマだったら二十話くらい作ってしまうだろう。そう、日本のドラマはちょっと英国のドラマと比べると薄味だ。こういう濃厚で本格的なドラマを見た後だと日本のドラマの薄っぺらさと俳優のリアリティのなさ、それにコマーシャルのやかましさでうんざりする。まあ見なければいいだけだけど。

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