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2012年8月 7日 (火)

ベリンダ・バウアー著「ダークサイド」(小学館文庫)

 訳・杉本葉子。著者は処女作がゴールドダガー賞(英国推理作家協会賞の大賞)を受賞した。これは彼女の第二作である。

 MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞とゴールドダガー賞、シルバーダガー賞の作品に外れはない。そしてその賞を取った作家の作品はほぼ全て面白い。

 主人公はイギリスの片田舎の村の若い巡査のジョーナス・ホリー。ジョーナスの最愛の妻ルーシーは難病の多発性硬化症で、今のところ何とか身の回りのことは自分で出来るが徐々に死に向かいつつある。そんなある日、村で殺人事件が発生する。落馬事故で全身麻痺になり、寝たきりの老婆が殺される。

 その捜査のために州都からマーヴェル警部達がやってくる。ジョーナスは捜査に加わろうとするが、マーヴェルは無能な田舎の巡査と見てはなから馬鹿にし、捜査に加えない。

 ジョーナスはなすすべもなく、手をこまねいているが、その彼に一通のメッセージが届く。「それでも警察か?」。これに発憤してジョーナスは独自に捜査を開始するのだが、その努力はかえってマーヴェルの怒りを買う。そんな中なんと新たな事件が発生する。殺されたのはジョーナスの幼なじみの母親で、精神を病んで家族に面倒ばかりかけている女性だった。

 なぜ犯人は弱者ばかりを狙うのか、マーヴェルの捜査は当てずっぽうに犯人に決めつけた容疑者の追及と空振りばかりでまったく進展せず、新たな惨劇が起こるに到って捜査陣も村も疑心暗鬼の中に追い込まれる。

 ジョーナスの所に新たなメッセージが届けられ、体の不自由なルーシーの身に危険が迫っていることが告げられる。そのルーシーが絶体絶命の中で見た予想外の犯人とは・・・。そしてジョーナスはルーシーを救うことが出来るのか。じつは事件の背景には忘れ去られかけていた昔の忌まわしい事件が影を落としていたのだが。

 最初は田舎のなんということのないような事件が次第に大がかりな事件につながっていき、クライマックスの緊迫感と驚愕はとても大きい。
 村民や捜査部隊、主人公達の性格や行動が詳細に語られているのでかなり大部の小説だが、中盤以降は一気に読み進んでしまう、というよりやめられなくなってしまう。物語の中に取り込まれてしまう感じだ。本当に面白かった。

 前作、つまりゴールドダガー賞受賞作「ブラックランズ」も舞台は一緒で、数年前の事件のようである。早速購入して読んでみようと思う。

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