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2013年11月13日 (水)

山本博文「歴史をつかむ技法」(新潮新書)

 著者は歴史は科学である、と言い切る。歴史教育には歴史の知識を得ることに偏重しているきらいがあるが、本来歴史を学ぶ、ということは歴史的思考力を身につけ、それを磨いていくことであるのだ、という。

 歴史の事実を、現在自分が措かれている時代の価値観で見ることは正しい歴史的思考とは言えない。このことを私は小学校のときに先生から教えてもらった。

 マルクス史観という歴史観がある。この本でも取り上げられているが、歴史を進歩史観でとらえる考え方で、一時期は日本の歴史学者はこの史観にたたなければ学者が出来ないほど一世を風靡した。現在ではそれがようやく下火になったが未だにその亡霊が出没する。学校の先生の多くがその進歩史観で教育を受けていたので、その先生たちに教えられた多くの日本人が未だに影響を残している。

 私にそれが間違っていることを教えてくれた先生は、だからすばらしい先生であったことがいまなら分かる。この本ではあらためてそのことをきちんと説明してくれている。

 もともと著者は専門が日本史、それも江戸時代に詳しいが、この本では歴史的思考についての自分の考えを詳しく説明したあと、日本の歴史の流れを概観してくれる。新書の中での概観だから極めて簡単なものだが、これが具体例となって著者の言う意味がよく分かるようになっていると思う。同じ歴史でありながら目から鱗の部分もあり、もともと嫌いではない日本の歴史をもう一度きちんと見直したくなった。

 この本では司馬史観に対しての著者の考えも語られており、全面的に私もその意見に賛同する。正しい認識は正しい知識と正しい思考によって獲得できるという当たり前のことを教えてくれる良い本だった。

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