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2017年1月30日 (月)

話したいことと聞きたいこと

 コメントを良くいただく「けんこう館」さんのコメントに返事を書いていて、思ったことがある。

 父や母に生前に聞いておきたかったことが、今になって次から次に湧いてくる。父がどういう育ち方をしたのか、親や兄弟についてどう思っていたのか。中学生時代にふるさとを出奔(まさにそうだったようだ)してからおとなになるまでどんな苦学をしたのか、専門学校を卒業してすぐに中国に渡り、どんな暮らしをしていたのか、戦争中に何を考えていたのか。

 母のことは、母が自らしばしば語ってくれたので、ずいぶん承知している。承知しているのだが、聞いておけば良かったことを次々に気づいたりする。

 昔実家に友人や先輩を連れて行った。たいてい酒盛りである。父は下戸だからビールを舐めるだけだが、息子の友人を歓迎するつもりなのだろう、つき合って坐っていた。客が父にいろいろ昔のことを質問する。それに父は答える。それによって父の昔のことを初めて知ったことが多い。

 母は話したいことだけ私に語った。父は特に話す必要を感じないし、何を私が知りたいと思っているのか分からないから何も語らなかった。何も聞きたくないだろうと思っていたのかもしれない。

 聞かれればそのことを語っただろう。人は相手が何を聞きたいのか知らない。聞きたいかどうかも分からない。だから聞きたいことをこちらから聞かなければならない。聞きたいことは相手を知りたいと想う気持ちから生ずる。すでに知っていると思うと何も聞きたいと思わない。

 相手を知りたいと思うことは相手を想うことである。そのことが伝われば、相手は聞かれたことに答えて語ってくれる。そういう意味で親のことについて知らないことだらけなのは、すでに相手を知っていると思い込んでいたからだろう。

 母親がしばしば子どもに根ほり葉ほり聞くのは、子どもを管理するためばかりではなくて、やはり子どもを想うからなのだろう。聞かれたら答えるのが子どもの務めであり、やさしさだといまなら分かる。

 今となっては聞きたいことを親に聞くことが出来ない。聞いたら答えてくれただろうし、聞いて欲しいこともあっただろうに、と思うとちょっと切ない。本当に私はバカ息子であった。

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コメント

身近にいたのに、あらためて考えると父のことも母のことも知らないことばかりです。
父が亡くなってからも、お世話になった父の友人はシベリア抑留の経験者でした。
もっと話を聞いておけば良かったと思う人が沢山います。

けんこう館様
いつでも聞けると思っているうちに取り返しがつかなくなります。
そして自分も話しておきたいことを話しきらずに終わることになりそうです。
このブログに書いたことにその断片があります。
息子や娘がそれを少しだけでも読んでくれていればそれで好いと思っています。

OKCHANさん。こんにちは。
私も同タイトルの記事をアップしました。
そこに記事を一部転載させてもらいました。
ありがとうございます。

zih*s*uppan*様
ご自由にどうぞ。
コメントありがとうございます。

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