« 身売り | トップページ | 出馬せず »

2017年2月 1日 (水)

予測を超える

 大統領候補のときのトランプを見て、あまりの異質さに驚いた。誰もが驚き、こんな候補が大統領になるはずがないと思った。ところが一部の人々に熱狂的な支持を受け、あれよあれよという間に大統領になってしまった。彼が強力だったというより、ほかの候補があの毒気に当てられて霞んでしまったように見える。

 まさかが現実化しつつあるとき、そして現実化したときにその理由の解釈や今後の見通しについてのコメントが百出した。大統領になるために極端な言説で注目を浴びて戦いを有利に進めたが、ブレインに人を揃えるはずなので、大統領になればまともになるというのが大方の解説者の意見だった。

 結果はどうか。大統領候補だった時代の、まともとは思えない約束を次々に実行に移すばかりではなく、異常に歪曲された妄想的世界観に基づく攻撃的な大統領令や言説を次々に発している。私にはほとんど狂気の人に見える。

 ただの下品な拝金主義者かと思ったら、とんでもない怪物だったことが明らかになってきた。彼本人が怪物だというより、アメリカ大統領という権力が彼を怪物にしていると言って良い。

 何よりこわいのは、この怪物を利用して自分の利を謀る者たちが垣間見えることだ。フォードは怪物をそそのかし、トヨタを攻撃させた。朝のニュースを見ていたら、製薬会社は日本の為替政策を攻撃させたようだ。長い低成長の苦しみとリーマンショックの打撃から立ち直るために必死でもがいてきた日本の努力を「不公平」と言ってのけた。根拠など無い。ただ日本がじわじわと回復しつつあるからそれが腹立たしいのだ。フォードは日本での販売戦略に失敗し、撤退を余儀なくされたことに報復しようとしたのだ。製薬会社は日本の健康保険が世界に類を見ない成功を収めていることで、薬価を自由に決められないことに腹を立てており、それを壊したいと思っているのだ。アメリカのように自由に薬価を決めて暴利を貪りたい。それを阻止しようとしたオバマケアは彼等にとっては邪魔者である。だからそれを排除することにした。トランプはオバマケアをやめると言った。アメリカの保険業界も同調して「不公平を正せ」とトランプに吹き込むことだろう。

 トランプは自分がアメリカのためにやっていると信じているのだろうが、それはアメリカのひとり勝ちのための戦略で、自分が勝つために何をするかではなく、相手をたたきつぶして自分が勝つための戦略である。アメリカとまともに戦って勝てる国などないことを承知の恐ろしい戦略である。

 世界が不安になるのは当然である。世界は調和が破壊されて不安定化し、とても不効率な混沌の時代を迎える。恐怖は不安から生じる。恐怖と怒りは戦争への道につながっている。

 こんな怪物を生み出してしまったアメリカという国は自己修復できるのだろうか、それとも末路を迎えるのだろうか。生み出したものが彼を葬るしかないが、可能性はあるのか。大統領を暗殺するのは多くは利の集団だ。ところがその利の集団はいま怪物側にいる。その期待も少ない(期待してはいけないことだけれど、期待せざるを得ない事態がそこにある)。

 怪物はこれから世界にどれほどの災厄をもたらすのだろうか。彼が健康であることは医師に補償されている。そのことはクリントンとの戦いのときにあきらかにされた。病も彼を犯すことが出来ないのか。年齢は彼を蝕むことにならず老耄は彼の怪物性を強化するだけであろう。

 こんな時代を見ることになろうとは思いもしなかった。

(追加)
 昨晩、NHKBS-1で放映された「“強欲時代”のスーパースター ドナルド・トランプ」という番組を先ほど観た。アメリカで1991年に制作されたもので、トランプがどれほどあくどいことをしてきたかがそこに収録されている。ほとんど映画に出てくる極悪なならず者である。これは当時放送できずにお蔵入りになった。トランプが裁判で訴えると恫喝して、それに放送会社が屈したからだ。
 こんな人間が堂々と大統領になれるアメリカという国のすばらしさに感嘆する。アメリカは本当にすばらしい。

« 身売り | トップページ | 出馬せず »

「ニュース」カテゴリの記事

コメント

最近は世捨て人になっていたが
トランプ氏の発言や行動を見て 驚いています
世界中でただただ 見ているしか方法はないのだろうか
もし こんな田舎町でデモでもあれば進んで参加したい

イッペイ様
大統領になってしまった今となっては誰も止めようがありませんが、彼に迎合し、擦り寄るような人間を良く見極めておく必要があります。
世界は彼がもたらす災厄から何を学ぶことになるのでしょうか。
イッペイさんの言うように、いまは彼に反対であるという立場だけを表明しておくしかないようですね。

生活におわれてニュースを観ていませんでした( ; ; )

こんな怖い国にいま居候しているなんて。。

これからどのような時代になるのか…

藤子様
まだ楽観的な見方をする人も多いので、これからどうなるか分かりません。
しかし計算づくの強硬策というよりも、本当に歪んだ世界観の持ち主のような気がします。
思い込んだことを回りがいくら訂正しようとしても、相手が間違っているのだ、と言い続けていきそうです。
妄想患者に近い気がします。
そうでなければ好いのですが、希望は少ないでしょう。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 身売り | トップページ | 出馬せず »

最近のトラックバック

カテゴリー

  • アニメ・コミック
  • ウェブログ・ココログ関連
  • グルメ・クッキング
  • スポーツ
  • ニュース
  • パソコン・インターネット
  • 心と体
  • 文化・芸術
  • 旅行・地域
  • 日記・コラム・つぶやき
  • 映画・テレビ
  • 書籍・雑誌
  • 経済・政治・国際
  • 芸能・アイドル
  • 趣味
  • 音楽
2018年8月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ