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2017年2月 9日 (木)

町山智浩「映画と本の意外な関係!」(インターナショナル新書)

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 町山智浩の映画評論はただの映画好きがプロになっただけのレベルとは段違いの本物であると思う。ここまで過去と現在までの映画を次々に取り上げて比較し、その見えないつながりを明らかにしてくれる評論家はいない。いままでにいくつかその評論を読んでいたし、内田樹老師の本にもしばしば登場する。

 今回読んだこの本は、映画と本との関係について書かれている。その博覧強記ぶりには脱帽する。彼の頭の中の引き出しはどれほど膨大なのだろう。あとがきに、自分は映画そのものを観るより見終わった後にその映画のことを調べる方が好きなのかもしれないと書いている。

 事実そうかも知れない。そうしてもともとの知識に調べたことを付け加えて膨大なデータベースが彼の頭の中に構成されているのだろう。問題はそのデータベースをどう取り出して組み合わせ、意味のあるものにしていくかだ。この本を読めばその組み合わせの意外さに驚くと共にその読みの深さにも感心するに違いない。

 この新書一冊に取り上げられている映画はとてもたくさんあって、そのうち実際に自分が観たものはほんの一握りだけれど、その映画についての考察の一言でその映画のシーンがよみがえるからすごい。

 例えば私が始めて購入したLD(レーザーディスク)はなんと「恋人たちの予感」という恋愛コメディー映画である。メグ・ライアンとビリー・クリスタル主演のこの映画は最高だったけれど、どうしてこの映画を買ったのかいまでも自分で分からない。メグ・ライアンが好きだったからではなく、この映画を観て好きになったのだから。この映画がこの本で取り上げられて評論されている。男と女は恋愛感情抜きで親友になれるか、と云うことにこだわり続けた二人の結末は・・・。この映画の意味、メグ・ライアンの演じた女性の想いに込められたアメリカ女性の思いとは何か。おバカ女ばかり出てくるアメリカ映画の女性とは違う主人公の生きにくさのようなものに共感したことを思い出した。彼女の奔放さの中に哀しみを見たのだけれど、うまく説明しにくい。

 「インターステラー」のシーンで時空を超えたところから父親が娘を覗き込むシーンがある。それが巨大な書庫のようなところであることがとても象徴的だった。その感覚は映画を観てもらわないと分かりにくいが、このシーンとこの町山智浩の映画評論の世界がオーバーラップしているように感じられた、と云うと却って分かりにくいだろうか。

 分からないかなあ。分かんないだろうなあ。本好きでなおかつ映画好きの人にお勧め。

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