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2017年4月20日 (木)

おどろきの成田空港

 来年、成田空港は開港40周年を迎える。建設が決まってすでに55年経つが、当初の空港の計画はまだ完成していない。空港に反対する住民が立ち退きを拒否したままで、争いの終結の目処が立たないからだ。母方の祖父がこの空港のすぐ近くの生まれで、知り合いが反対闘争に名を連ねていたのを見てぶつぶつ言っていたことを思い出す。

 祖父は成田空港に消極的ながら賛成の立場であるけれど、農民たちがあの辺りの開墾にどれほどの苦労をしていたかわかっていたから、反対する人たちの気持ちも理解していた。それが政治闘争になってしまったことを腹立たしく思いながら見ていたのだろう。

 あの周辺は水利が悪く、関東ローム層なので農地に適しにくく古来開墾が遅れていた。だから江戸時代などは放牧地としてしか利用されていなかった。それを農民たちは苦労して農地に開墾したのだ。

 政府は農地に適さない場所だから、それなりの代価を払えば農家は簡単に土地を売ると考えた。経済的には合理的な考えである。ところが農民の土地に対する考えはそういうものではない。苦労を重ねたからこその土地への執着がある。それを読み違えたから農民の逆鱗に触れることになった。

 このことは祖父の言葉の断片から知った。

 中国メディアが、成田空港がいまだに未完成であることを紹介する記事を書いた。日本最大の国際空港である成田空港が、立ち退きを拒否する住民との闘争が50年以上続く最も建設が困難な空港であると説明している。

 その闘争の経緯も説明されていて、それを読んで久しぶりに祖父と成田空港とのことを思い出したのだ。

  この記事は立ち退かない住民のために説得に説得を重ね、巨額の費用をかけ続けたこと、そしてこの教訓から、その後は巨額の費用をかけても海を埋め立てて新しい空港を作るようになったことを伝えている。

 この記事には、「一人一人の尊厳を尊重してきたから日本は強いのだ」とか、「日本人の良心はやっぱりすごいなあ。ブルドーザーを持って来てあっという間に更地にしたりしないもんなあ」などとコメントが寄せられたそうだ。

 中国では道路や空港などの公共施設を造るとなれば、いちおうの交渉はするけれど、多少の反対などお構いなしに強制的に退去させ、居座ればときに拘束され、建物は重機で破壊してしまうから迅速に工事が進む。

 私はこのことは中国の最大の強みであると前々から思っていた。効率的で合理的なのである。しかしそこには経済論理しか存在しない。その経済論理を基準に考えて、日本の不合理さを笑う目的で記事は書かれたのだろうか。

 しかしコメント氏たちが言うように、人間の社会活動は経済論理だけではないのである。不合理で非効率的な日本を紹介した記事は、結果的に違うことを伝えることになってしまったような気がして面白かった。

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