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2017年7月17日 (月)

小川糸『ツバキ文具店』(幻冬舎)

 何年か前に鎌倉を1日歩き回った。鎌倉は車で訪ねるところではないと思ったので電車で行ったのは正解であった。歩いていると思わぬ発見があるもので、車では見過ごしてしまう。

 多部未華子が主演した同名のドラマを数日前に観終わったので、原作のこの本を読んだ。鎌倉にある文房具店が舞台で、主人公の雨宮鳩子は祖母である先代からこの店と代書屋という仕事を継いでいる。物語は、依頼された代書の仕事を通して、鳩子が依頼した人の人生を垣間見、そこからその人の歩んできた人生を想像し、さらに自分自身を振り返りながら人間として成長していくというものだ。

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 この本には鎌倉が生活空間として描かれていて、そういう視点から鎌倉の魅力がこちらに伝わってくる。こんな本を読んだら鎌倉にまた行きたくなるではないか。

 それぞれの代書の依頼に対して鳩子が書いた手紙が、活字ではなく肉筆で挿入されている。この手紙文はドラマのものとまったく同じである。ただ、ドラマでは依頼人の人生がより詳しく描かれている。依頼人はどうしてそんな依頼をしたのか、その依頼に対して鳩子がどのように感情移入していくのか、つまり依頼人とシンクロした手紙を書き上げるのか、それが分かりやすく描かれていた。原作はそのへんがさらりと描かれていて大きく違う。

 しかしさらりと簡単に描かれているだけ、書き上げられた手紙のインパクトが強くなっている。ドラマと文章の表現方法の違いが際立っているのを感じた。手紙はそもそも文章であるから、本の方が効果が大きいのは当然かも知れない。しかも手紙は肉筆である。この字は著者の字であろうか、そんな気がする。これを見るだけでもこの本を読む値打ちがある。

 ドラマを観たからこの本を読む値打ちが損なわれるか?決してそんなことはないはずだ。基本的に同じストーリーだけれど細部は違うし、受ける感動はそれぞれに大きくて、二度楽しめることを請け合う。

 著者の小川糸原作である『食堂かたつむり』という映画も見たし、『つるかめ助産院』というドラマも観て、大いに楽しんだ。今回初めて著作を読んだ。この人の本をまた書店で探すことになるかも知れない。

 最後に、多部未華子は、私がだいぶ以前から別格的に好きな女優、というより女性で、本人のことはまったく知らないが、見ているだけで心がときめくのである。CMで見てもそうなるからほとんど恋のようなものである。もちろん完全な片想いだが。

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コメント

おはようございます。
私は湘南に住んでいて鎌倉が勤務地なので、鎌倉という街をまあ、よく知っているつもりです。
しかし最近は御成通りなどもブティックなどが増えて昔の鎌倉の良さ、というものが消えつつあるようです。
古本屋や本屋も少なくなりましたし・・・。
では、
shinzei拝

shinzei様
この本では鎌倉の鎌倉らしいと思われるような店や場所が書き込まれていますが、shinzeiさんはそれに共感されるでしょうか。
私はちょっと行って見たくなりました。
気軽に行けるようなのがうらやましいです。

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