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2017年7月 9日 (日)

中国黄金殺人事件

 これも百目鬼恭三郎『解体新著』から。もっと取りあげたいけれど、きりがないからこれを最後とする。ここで紹介されたのはファン・フーリクの『中国黄金殺人事件』(三省堂)である。これは彼の書いたディー判事シリーズ全十六巻の一つである。

 ディー判事とは、唐の時代の実在の人物、狄人傑(てきじんけつ・ディー・レンチエ)のことである。このシリーズは彼が主人公だが、狄人傑は地方知事として多くの犯罪事件を解明している(当時の地方知事は判事も兼任した)と歴史書にも記されている。しかし小説は明の時代などに狄人傑を主人公とする中国の小説や裁判説話集などをもとに、ファン・フーリクが創造したものである。狄人傑はしばしば奉行の大岡忠相に比肩されると云えば分かりやすいだろうか。

 ファン・フーリクはオランダの外交官であり、東洋学者でもある。日本には戦前戦後を通じて三回駐在している。百目鬼恭三郎も記者時代に一度面談しているという。フーリクが死んで半世紀後に日本でディー判事シリーズの一部が翻訳出版されたので、その縁でこの本を紹介したのだ。

 ファン・フーリクの中国に対する知識には百目鬼恭三郎も一目置いているようだ。その感想から、小説の中に描かれる長安の街の様子にリアリティを感じていることがよく分かる。

 私はディー判事のシリーズについて以前から知っているけれど、読んだことはない。ただ、中国で彼を主人公とした映画が作られていて(『王朝の陰謀-ディー判事と人体発火怪奇事件』など。主人公をアンディ・ラウが演じていた)、WOWOWで観た。とても面白かったけれど、フーリクの原作とはたぶんだいぶ違うものだと思う。いささか荒唐無稽がすぎる映画であった。 

 ところでファン・フーリクについては、私は別の本で忘れられない。『中国のテナガザル』(原題『GIBBON in China』)という本で、このブログで以前紹介した。

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 先般私のブログに、最近コメントをいただくHiroshiさんから、西遊記の孫悟空の起源について、中野美代子の本の情報をいただいたのだが、お返しにこの本のことを思い出して紹介した。中国の猿については漢詩にもたくさん詠まれている。その猿とはどんな猿か、この本で多少知ることが出来る。

 ファン・フーリクにはそういうわけで思い入れがあり、百目鬼恭三郎が彼の本を取りあげ、しかも面談したことがある、などと知ると、なんだか旧知の人に会った思いがしたのである。

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