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2017年9月12日 (火)

橘南𧮾(たちばななんけい)『東西遊記2』(東洋文庫)

 第一巻が『東遊記』で、第二巻が『西遊記』。西遊記といっても孫悟空ではなく、西側諸国を歩いた紀行文である。

 漢字はそのままに、かなは現代仮名遣いにして、ほぼ原文の味わいを残しながら読みやすくなっている。漢字にはおおむねルビが振られているのだが、ルビがなくても読める字が多いのに、読めないのにルビのないものもあり、そこで読むリズムを失いやすい。漢和辞典で調べれば良いのだが、読めなくても読み飛ばすことができることも多いので、リズムを重視して読み進める。当然知っているはずとしてルビが振られていないのであろう。不明を恥じるばかりである。

 実際には西の方への旅がさきで、東への旅があとのようである。この紀行文は時間順や旅の順番になっていない。「一七 猟犬(鹿児嶋)」、「一九 山女(宮崎)」、「六八 飢饉」などのように項目を立てた短文が連ねられている。

 前編、後編、続編、補遺となっているのは、当時その順番に執筆公表されたのであろうか。『東遊記』も『西遊記』も補遺の文章は長めのものが多い。

 著者の橘南𧮾は医家である。菅江真澄も医家であり本草学者だったが、当時の医家は尊敬されていて、地方には優れた医者もいなかっただろうから、旅に出ても優遇されたようだ。医者には偏見が少なく、好奇心が旺盛な者が多かったのかも知れない。橘南𧮾は身の危険を承知でずいぶん無茶もしているから、冒険心も強かったようだ。 

 今回読んだ『西遊記』では鹿児島の記述が多い。当時外部からの入国を嫌っていた薩摩に楽々と入り、ずいぶん多くの人と交流をし、めずらしいものを見たり聞いたりしている。そもそも薩摩は人の性格がずいぶん違うことに驚いている。地域性の問題もあるが、時代と共に培われた特殊性をきちんと考察していて面白い。

 この本の中で琉球の歴史が語られ、実際に琉球から薩摩に挨拶に来ていた二王子と親しく歓談し、交流している。琉球を通して薩摩が貿易をしていることが公然と語られているが、こんなことを書いても大丈夫だったことに驚く。

 紹介したい文章がいくつもあるのだが、変換が面倒なので疲れるのである。気が向いたときにいくつか取りあげてみたいと思っている。興味があれば是非探して読んでみることをお薦めする。ほんの一部の候文や漢文の書き下し文を除けば、徒然草を読むよりもはるかに楽に読めるから心配ない。

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