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2018年7月17日 (火)

想像力のことなど

 NHKスペシャル『人類誕生』の第三集は、『ホモ・サピエンス ついに日本へ!』というタイトルだった。この番組はとても面白い。人類の発祥はアフリカ大陸であることが科学的に確定しているという。しかし人類が誕生してからアフリカ大陸以外の地に拡散していくまでには数百万年の時間がかかっている。やがてネアンデルタール人はヨーロッパ各地に散らばり生息したが、後にホモ・サピエンスに繁栄を譲ることになった。さらにそのホモサピエンスがユーラシア大陸の東の果てにいたり、ついに日本に上陸するに至る話しが今回の第三集である。

 ホモ・サピエンスがネアンデルタール人に優っていたのは想像力と助け合う力だったという。このことは前回に詳しく説明されていた。体力的な強靱さではネアンデルタール人のほうが優れていたのに、ホモ・サピエンスが勝ち残ったのはそれが理由だという。ネアンデルタール人の遺跡はヨーロッパ各地にあり、石器も使用していたことが分かっており、言語も使用していたらしいと推定されている。必ずしも劣っていたわけではないのである。

 助け合う力と想像力が優れているからホモ・サピエンスであるわれわれがいまの繁栄を謳歌できているのだとしたら、いまの世界はどうなってしまったのだ、などと思う。想像力の基本は、たとえば料理なら、段取りがあり、それに沿って事前に食材や調味料を準備し、使用する調理器具を用意して、火加減、調理時間、味付けをしていく。いままでに作った料理の記憶も必要である。案外複雑な知力を必要とする。想像力が弱ければ料理はうまく出来ない。

 ここから原発事故の話に飛ぶ。事故が起きたらどうなるのか、事故としてどういう原因が想定されるのか、その事故が起きないためにどういう対策が必要か、それらを考えるためには想像力が必要である。そんなことは起こるはずがない、というのは想像力の欠如であり、しかも過去に大震災の歴史的な実例があることを知りながらそれを否定するのは知性の欠如であろう。それを震災の予知は無理だった、などという言い訳をする。それで許されると思っているならそれも想像力の欠如によるものだろう。

 太平洋戦争のような戦争を引き起こしたら、いったい日本はどうなるのか、その当時だってちゃんと考えれば分からなかったはずはない。それも想像力の欠如以外のなにものでも無い。

 魚を乱獲した上に海を汚染しまくればどうなるのか、それが全く理解できない人たちがいる。そのことでつぎつぎに大衆魚が市場から消えていく。これも想像力の欠如である。

 ホモ・サピエンスはどうも経済至上主義という悪魔の前に、想像力という能力を差し出してしまったらしい。それによって繁栄したはずの能力を失ってホモ・サピエンスは生き残れるのだろうか。

 もう一つの助け合う力についても同様である。いまのトランプによる貿易戦争などまさにその正反対の反知性的能力といっていい。彼は仲間をだいじにする。だから助け合うために自分の権力を行使していると確信している。それはアメリカの白人だけのため、ごく限られた仲間だけのための助け合う力の行使で、実は人類全体の助け合う力を著しく損なっていることを想像することが出来ないのである。

 人類誕生の番組を観ながら、その人類はそろそろ終焉を迎えつつあるのではないか、などと悲観的なことを考えていた。

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コメント

おはようございます
おっしゃる通り人間というのは目の前に利益がちらつくと途端に自分の立ち位置がわからなくなる”困った”生き物です。そんな人間はこれからも自然を改変し、破壊し続けるのは明白です。
しかし、やはり自然というのは雄大なものであるそうで、たとえ人間が滅んだところで自然はいそいそとその後始末をし、人間がいた痕跡は短くて数十年で消えうせると言います。
所詮人間様とは威張ってみても、その程度なのですね・・・。
では、
shinzei拝

shinzei様
もしいまの人類が滅びても、自然は自らの復元力で人類がもともといなかった状態に戻るのでしょうね。
もともと永遠のものなどないようですし。
人類はひたすら繁栄し、宇宙に雄飛し、この世の理をどんどん明らかにしていくのかと思っていましたが、いまのままではそれは夢に終わってしまいそうです。
そうなるとしても、少なくとも私の生きているあいだは大丈夫そうなので、「あとはしらない」というところで退場することになりそうです。

私もこの番組・・・面白く見ていました。
色んな意味で人類は滅亡の道にいっているのでは?・・・と思えます。
地球の中の限りある資源を湯水のように使っている人類ですから。
それに
自分の国さえ良ければ・・・、と考える国が増えているような。
未来映画の悲惨な人類の生活が現実にならなければ良いのですが。
子供たちの時代が心配です。

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