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2019年8月20日 (火)

馳星周『蒼き山嶺』(光文社)

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 日本のハードボイルド作家を代表する北方謙三、大沢在昌、そして馳星周の三人の作品はほぼ外れがなく愉しめる。最近エンターテインメント小説に手が出なくなっていたが、いつか読もうと思って買いためた本がたまったので、少しずつ片付けていくことにした。

 

 この作品は山岳小説と云う事になるのだろうか。学生時代に山岳部で一緒だった三人の男がいた。一人は天才的なクライマーの若林、後に彼は8000メートル級の山々を制覇し続けるが、雪崩に遭って遭難したあと行方不明。もう一人がこの物語の主人公の得丸。長野県警の山岳救助隊に長く勤めて二年ほど前に辞職し、いまは観光課の顧問として山から離れられずにいる。残りの一人は池谷といい、警視庁の公安部に入り、それ以後山とは縁が切れている。

 

 得丸は白馬岳を下山途中で、残雪期とはいえその装備や足どりがほとんど素人に近い男が登ってくるのを発見する。無謀な山行を見過ごしに出来ずに声をかけ、その男が池谷であることが分かる。どうして公安にいるはずの男が単独で登ってきたのか。不審に思いながらも、白馬鑓ヶ岳を目指すという池谷のガイドの依頼を引き受ける。

 

 やがて物語が進むに従って、彼を公安が追ってきていること、さらに彼に別の組織から刺客が向けられていることなどが明らかになっていく。そして池谷の目的地は白馬山頂ではなく、山々をはるか越えた日本海であることを告げられる。ほとんど無謀な企てである。しかしある理由で引き受けざるを得ないことになる。池谷の負傷、刺客との戦い、吹雪の山行、得丸の闘いが続く。そこにヒロインが絡んでくる。そしてそのヒロインの意外な正体。池谷と、そして彼女との約束を果たすために彼は人間の限界を超えていく。

 

 最後に彼が見たのは現実の日本海なのか幻覚なのか。この物語には少し気になる部分がないではないが、気にせず読み進めればかなり愉しめる。読みごたえ大いにあり。
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