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2019年8月19日 (月)

倦怠

 人生は、などと大げさに言うほどのことではないが、生きていると云うことは雑事の処理の集積のようなところがある。雑事とはなにか。しなければならないことではあるが、横着をして先延ばししても直ちに人間関係を損なって社会的に生きにくくなったり、生命にかかわるようなものではないようなもろもろのことだ。

 

 暑いからほとんど外に出ないで、ほとんどひきこもりみたいな暮らしをしている。つまり雑事がおろそかになりつつある。それでも食べるものを買いに近くのスーパーに行くし料理もつくるから、本物のひきこもりとは違う。伝え聞く本物のひきこもりは、ときに自分の命にかかわる事態でも自分から動こうとしないらしいから、もう完全に病気である。本人が生きている限り誰かが面倒をみなければならないらしいから、社会的な負担が大きい。面倒を見続けている親意外にもようやく世間一般にそれが認知されてきたようだ。彼らは自ら精神病院の閉鎖病棟に閉じこもっているかのようだ。

 

 彼等は自分が悪いこと、弱いことを知っている。知っているけれどそれを認めることができない。他人が悪いからこうなっているのだと自己正当化する。彼らの自己正当化はたぶん極めて強固なのであろう。

 

 彼らは自らの意思で閉じこもったのだから、いつかは閉鎖病棟から自分の意志で出て来るはずだ、出てくるのを待とう、と専門家は言い続けた。マスコミはひきこもりから立ち直ったという希有な例を大々的に報道した。こうしてほとんど社会的に放置され続けた四十代五十代さらに六十代のひきこもりが大量に残されている。彼らの面倒をみるために身心をぼろぼろにしている親たちがいる。疲弊した親たちが究極の選択をする事件がときにおこるが、これからますます増えるにちがいない。

 

 私自身も弱いから分かることだけれど、弱い人間は自分の弱さを認めることが出来ずに自分の不遇の原因を自分以外に求めがちである。それでも少し前まではなんでも他人のせいにする人間は軽蔑された。ひとには能力差が厳然としてあるものだし、運不運というものもある。身の程知らずの、しかも努力もしないでの恨み言は誰も相手にしなかった。

 

 いまはその恨み節が天に届くようになったかのようである。

 

 京都アニメーション(京アニと云う言い方はどうもなじめない)の放火大量殺人事件の犯人に、自分のやったことの罪を自覚させることが出来るか、後悔させることが出来るか、私は無理だと思う。あおり運転の末の暴行犯に自分が悪かったと思わせることが出来るか、私は期待しない。世の中は強固な自己正当化の蔓延する時代になった。トランプが、習近平が、文在寅が、プーチンが率先して自己正当化を謳う。自分に問題がありやしないか、などと毛筋ほども考えない。

 

 それらを連日朝から晩までテレビで見せられてうんざりしつつも、さてまず雑事を一つずつ片付けようかなどとようやく重い腰を上げる。倦怠の夏はまだしばらく続きそうだ。私は弱いけれど、なにかを他人のせいになどしない。そうしたら楽かもしれないと思ってもしなかったと自負している。ときには自分のせいでないことでも黙って引き受けたことさえある。そういう損は自分の傷にはならないものだ。それが自恃というものだと心得ている。

 

 どうも暑さのせいで支離滅裂になってしまった。
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コメント

先日の新聞記事に載ってたのですが、引きこもってた人が親元を離れ一人暮らしを始め社会と関りができてきたという例が紹介されてました。でも、生活を支えるのは生活保護ということでした。
親の次は生活保護、なんだか納得できない記事でした。

けんこう館様
ひきこもりになるひとは自活能力を身につけずに長く過ごしていますから、放置すれば生きることが困難なのでしょう。
それでも自活能力を身につけるための第一歩を踏み出すことが出来そうな人には希望があります。
それに手をさしのべるのは社会的なコストを今後減少させることにつながると考えて許容してもよろしいでしょう。
問題はそのような希望の見えない大多数の人々をどうしていくかです。
いままでは、多くが親にすべて任せていたのですが、その一部を社会が肩代わりすることになりそうです。
当然社会的な負担が増えますが、どうしても空しい負担に見えてしまいます。
このようなひきこもりを社会の責任だという人たちもいますが、負担を引き受けるのはそういう人たちだけではなくすべての国民です。

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