中国ウオッチ・労働集約型製造業苦戦
中国の海外向け製造業のうち、労働集約型の企業が苦戦している。欧州の財政危機が長期化、深刻化し、アメリカの失業率が高止まりして安価品の購買層の購買力が低下していることから、出荷量が低下している。さらに中国労働者の賃金が最近は年率20%も上がっていることから製品の価格競争でも東南アジアやインド、パキスタン、バングラデシュに勝てなくなってシェアを奪われつつある。
最近の若者は賃金が高くても製造業を嫌う傾向にあり、広東省では中小企業の倒産が激増しているという報告もあった。
中国は世界の工場を自負してきた。しかしその技術や生産管理のノウハウはほとんど自ら築き上げたものではない。人件費の安い国にシェアを奪われたら、より高品位のものの生産に振り替えていかなければならないが、今すぐ体質を変えて製品の品質と信用を獲得するのはムリである。
経験の蓄積が足りないのだ。過剰な資産は技術や設備に向かわずに不動産などの投資に向けられてきた。
バブルがはじけるかどうかは分からない。しかしどうも中国はターニングポイントに入ったようだ。中国共産党は深刻な格差問題、民族問題、環境問題、資源問題などをうまくコントロールしてきたかに見えたが、最近の頻発する暴動のニュースなどを見るとそのコントロールにも限界が来ているようだ。
みんなが貧しいときには自分の貧しさは怒りのエネルギーとはならない。今は中国国内ばかりではなく、世界の人々がどんな暮らしをしているのか、中国国民は知ってしまった。知ってしまえば知らなかった昔には戻れない。
中国は莫大な外貨を稼いだ。しかし13億の人間が使い出せばあっという間に使い尽くすだろう。中国人みんなが豊かになるのは多分ムリだ。中国人がみんな豊かになろうとすれば世界のどこかで悲鳴を上げるひとたちが出る。遅れて豊かになるひとたちが出てくれば今まで豊かだったひとはかなりの我慢をせざるを得ないのは当然なのだ。今の日本が、そして欧米が苦しくなっているのは誰のせいでもない。世界全体で見ればあたりまえのことなのだ。
« 杭州・市場の中 | トップページ | 中国ウオッチ・産業構造変革 »
「ニュース」カテゴリの記事
- 意見の相違(2022.06.25)
- 諸刃の剣(2022.06.23)
- 気になる数字(2022.06.21)
- ニュース雑感・国会関連(2022.06.02)
- ニュース雑感・朝鮮半島(2022.06.02)
コメント