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2011年7月11日 (月)

椎名誠著「水惑星の旅」(新潮選書)

この本で引用されているが、永井智哉著「地球がもし100cmの球だったら」によれば、「地球の表面は全部で2畳ほどの広さで、そのうち海は1.5畳。海の平均の深さは0.3mm。海水は全部で660cc、ビール瓶一本分しかない。また、淡水はわずか17cc、そのうち12ccは氷河などになって氷結しており、飲み水として使用可能な淡水は5ccしかない。スプーン一杯である。」このわずかな水が人間にとって必要不可欠のものであり、それが汚染され、枯渇しかねない状況であることが、人類にとって大問題になっている。だが日本人は幸いにも豊かな水に恵まれているためにその危機感がない。そのために中国人が日本の水源の山林を密かに購入して水を奪おうとしていることにも気づかずにいる。
今世界で淡水がいかに重要なものであるのかが、この本には詳しく語られている。椎名誠が各地を尋ねて水の状況を肌で感じていたので、書かれていることは統計の数字ではなく実感としてよく分かるようになっている。海水の淡水化、汚染水の清浄の技術について日本が進んだ技術を提供して貢献していることが述べられている。だが問題はいつも中国である。いくら水問題を解決するために世界中が努力しようともそれ以上のペースで水をスポイルしたら追いつくものではない。やはりすべては人口問題に収斂するのだろうか。中国のモラルの改善こそ世界の環境問題の鍵だと思うのだが、期待は薄い。

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