雑喉潤著「『史記』の人間学」(講談社現代新書)
「史記」を歴史としてではなく、人間の行動とその気持ちに重点を置いて読み解く。そもそも司馬遷は歴史を記述しながら自分自身の思いをその言葉の裏に熱く語っていると見る見方から、主要なシーンを読み直していく。「史記」を読み始めたばかりの人には参考になるだろう。これを読んでもう少し突っ込んだ読み方をしたくなると思う。ただ、このような読み方はすでにいろいろなかたちで行われており、目新しさには欠ける。まず中島敦の「李陵」を読もう。そして武田泰淳の「司馬遷」を読もう。そして司馬遷の「任少卿(じんしょうけい)(任安)に報ずるの書」を読もう。司馬遷がどういう気持ちで「史記」を書いたのか、また李陵の弁護をしたのかが心にしみて分かった上で「史記」を読もう。中国の歴史が本当におもしろいことがわかる。
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