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2011年7月 7日 (木)

池上彰・佐藤賢一「日本の1/2革命」(集英社文庫)

佐藤賢一は小説・フランス革命を執筆中(全12巻予定)。フランス革命は二段階の革命だったという。第一段階が立憲君主制を指向していた段階(ここで自由・平等・友愛の人権宣言がうたわれる)、第二段階は国王をギロチンに送り、共和制に至る過程である。第一段階の推進者は下級貴族やプチブル、第二段階は庶民そのものだった。第二段階では多くの血が流されることになった。振り返って日本を見れば、明治維新は第一段階だけの革命だった。推進者は下級武士であり、将軍は殺されず、立憲君主制に移行したところで収束した。乱暴にくくると歴史上民主主義に移行した国は第一段階で収束している。そして共産主義の国は血の粛清を伴う第二段階まで至る。1/2革命というのは特に第一段階に終わる日本の体質を指す。ところで日本は長期安定政権だった自民党をついに見放し、民主党を選択した。ささやかながらこれも革命と言って良いような出来事だった。しかしその結果はこのていたらくである。
この本はフランス革命について池上彰が問い、佐藤賢一が詳細に答える形をとっており、西洋史の苦手な私でも興味を持って読むことが出来た。フランス革命を一つの鏡として日本を、そして日本人を写してみれば日本のありよう、日本人の性質が自ずから浮かび上がってくる。日本人は誰かに革命をしてもらう、英雄待望論に終始し、自ら立ち上がって世の中を変えることをしない。投票すらしない人、投票もマスコミの論調のみに振り回されておこなうという人が多くては永久に世の中は良い方へ変わらないだろうということがよく分かる。
日本人に第二段階の革命がなじまないことはある面でよいことなのだが、その不徹底さが政治システムの腐敗と老朽化を招いたことを自分の責任として日本人すべてが引き受けなければならないだろう。

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