内田康夫著「還らざる道」(祥伝社文庫)
浅見光彦シリーズの一冊。功なり名遂げた大手インテリア会社の会長である老人が、高級ホテルで浜名湖の夕日を愛でたあと愛知県と岐阜県の境の山間の湖で死体で発見される。死体の様子から他殺と判明するが、彼がなぜ、そしてどこに向かおうとしていたのか、誰にも分からない。そしてその死後一週間して死者からその孫娘に小包が届く。彼女と浅見光彦はわずかな手がかりからその死の真相を解いていき、やがて50年前の事件に行き当たる。なぜそんな昔の事件が今頃になってよみがえったのか。心ある人は自ら封印した過去から逃れることは出来ない。その痛切な思いとその志を死者から引き受けた光彦のとった解決策とは。
いつもながらたいへんおもしろかった。シリーズの中でもよくできている物語だと思う。映画化してもよいのではないか。久しぶりに足助に行ってみたくなった。
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