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2011年7月10日 (日)

内田康夫著「十三の冥府」(光文社文庫)

大和朝廷成立の時追われた一族が、東北・津軽地方に落ち延びて王国を形成していたという史実を記録した「都賀留(つがる)三郡史」という書物の真贋を巡り、不可解な死が相次ぐ。浅見光彦は「都賀留三郡史」について調べる過程でその事件に関わっていく。浅見光彦シリーズは社会的な事件が背景になることが多いが、この話はどちらかといえば伝奇的様相を帯びている。シリーズの中では命を失う人が多いものとなった。表題の「十三の冥府」の意味が最後に判明する。全く思ってもいなかった結末となるが、こういう事件の場合はこんな結末しかないのかもしれない。津軽や下北に足を運んだことのある人ならあの風景とひとびとのたたずまいを思い出すことだろう。

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