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2011年7月 8日 (金)

大沢在昌著「氷の森」(講談社文庫)

「新宿鮫」シリーズの爆発的なヒット以来、メジャーとなった大沢在昌もそれまでは書いても書いても売れない作家だった。そして全精力を傾注してこれでもか、と世に問うたのがこの本だった。一部に好意的な評価をする評論家もいたが、ほとんど黙殺された。絶望に追い込まれながら不屈の闘志の元に再度挑戦したのが「新宿鮫」だった。メジャーになってからこの「氷の森」を評価する評論家がいたらしい。読者の方が何がおもしろいか知っているのだ。この作品はほとんど「新宿鮫」をこえている。日本のハードボイルドの頂点といってもよい作品だ。得意なキャラクターとして造形されている敵役の冷血漢はなかなか姿を現さない。彼に操られている人間の言動を通してしかその男の姿が見えない。最後の瞬間の異様な出会い方をするまで読者はぐいぐい引きずられていく。読み終わったとき、思わず入っていた肩の力をようやく抜くことが出来る。
日本のハードボイルドは、本当にレベルが高い。北方謙三、大沢在昌、馳星周の三人を特にトップとしてあげたい。この三人の作品に外れはない。

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