ジョー・ゴアズ著「ガラスの暗殺者」(扶桑社文庫)
新大統領就任の日、暗殺をほのめかす手紙が届く。新大統領にもその側近にも思い当たる人物があった。プロ中のプロであるその人物の行動を予測し対策をとるため、側近のひとりでFBIの長官を狙う特別捜査官は、多くの人物の中からその容疑者に対抗できると思われる人物を選び出す。元CIAの暗殺者で、妻と子を失ったあと引退し、現在はアフリカに移住して、野生動物の密猟者の監視員をしている主人公だ。彼を任務に就けるため、FBIは彼を罠に掛け、アメリカに引き戻す。不本意ながら協力を余儀されなくされた彼は、容疑者のプロフィールを知れば知るほど自分によく似ていることに驚く。そして容疑者の行動をトレースしていくことで思ってもいなかった事実が明らかになっていく。そして突然彼はその役割からのけ者にされる。主人公はもちろん独自に調査を続けていく。読み出したら途中でやめられなくなった。容疑者コーウィンと主人公のソーンがついに最悪のかたちで遭遇するあたりから山場だらけとなる。著者の巨匠ゴアズは今年の1月、なくなったという。残念だ。この本はとにかくおもしろいので夜に読み出したら徹夜覚悟が必要です。
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