富樫倫太郎著「SRO Ⅰ」「SRO Ⅱ」(中公文庫)
SROとは警視庁広域捜査専任特別調査室のこと。FBI帰りの主人公の要請に応えて首相(イメージは小泉首相)の鶴の一声で設置された。警察のセクト主義の弊害を越えた、FBIのような活動を考えたものだが、警視庁からも警察庁からも横紙破りとして協力が得られない。集められた人員はたった7名。優秀だが問題を抱えた人物ばかりである。彼らが捜査した事件がすさまじい。「SRO Ⅰ」では治療痕があったと思われる歯がすべて抜き取られ、指先が切断された白骨死体(見つかったものだけで5体、それも偶然見つかったものであり、埋もれたままのものはその何倍もあると思われる)が手がかりである。この犯人はきわめて異様な人物で「ドクター」と呼ばれ、実は「Ⅲ」(これから読む予定)で再び登場する。「SRO Ⅱ」では「死の天使」の副題で、二百数十人が殺された疑いが浮上する。物語はどちらかといえば劇画的で、リアリティはあまりない。ただその分文章が映像的なので劇画を読んでいる感覚で一気に読める。続けて二冊読んだ。多分これはシリーズでどんどん出てくるような気がする。「Ⅲ」まで買ったので後で読むつもりだが、とりあえずそこまでで打ち止めにしておこうと思う。
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