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2011年7月24日 (日)

江國滋著「落語手帖」(旺文社文庫)

円生の落語を聞いていたら江國滋の落語のエッセイを久しぶりに読みたくなった。この本の最初に「『火事息子』における親子像」と題して、名作落語の心理描写について語られている。私はこの「火事息子」が大好きだ。そしてもちろん江國滋ほどではないが、この話での父親、母親、息子の気持ちがお互いの一言一言ごとにどう動いていくのか、かなりじっくり考えたことがある。だからいきなりこのエッセイにはまってしまった。何せあの辰野隆が自ら序文を買って出たくらいだ。この序文は震えるほどの名文だ。今時こんな序文が書ける人がいるだろうか。
江國滋は1997年にがんで死んだ。多才な人で、素人芸を越えていたものに将棋、奇術、そして俳句がある。俳号「酔滋郎」としての辞世「おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒」は有名。
ちなみに直木賞作家の江國香織は彼の娘。

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