名越康文著「心がフッと軽くなる『瞬間の心理学』」(角川SSC新書)
心の持ちようで生き方は楽になる。時代の閉塞感から人は絶望感にとらわれてしまう。そのこころのこわばりのようなものを解きほぐすテクニックをアドバイスしてくれる。心がとらわれて頑張るエネルギーのない人に『頑張れ!』といっても頑張れないことにさらに絶望してしまう。そのような激励の書ではない。全く違うわずかなことで心の切り替えスイッチの入れる方法を教えてくれる。
最近まわりにうつ傾向だったりマイナス思考にとらわれている人を見かけることが多くなった。激励しても救われない感じだ。どのようにその堂々巡りの世界から抜け出すのかアドバイスしたいと思ってこの本を読んだ。人はなかなか自分を相対化してみることが出来ないもののようだ。自分を自分の外側から見ること、瞬間でもそれが出来るようになるとずいぶん救われるのだろうが、それが出来れば絶望はしないか。むつかしいものだ。とらわれているものとの間に隙間を作り出すこと、瞬間の訓練が自分を楽にする道なのか。
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