中国ウオッチ・ダム
中国は現在大型ダムを多数建造中であり、すでに世界最大級と云われる三峡ダムを始め建設完了しているものも多い。これは中国が工業用途を始め電力の需要が多いためである。火力発電所、原子力発電所の建造も進められているが需要に追いついていないのが現状である。
中国は1950~1970年代にダムを大量に建造した。その時以来中国は世界でダムが最も多い国になっている。その数何と87000カ所と云われる。
しかし当時のダムは技術レベルも低く経済的な条件などもあって粗製濫造型の小規模なものがほとんどであった。それらのダムの寿命は50年程度と見られており、その耐用年数を過ぎたものが半数以上となっている。そしてその従来のメンテナンスは十分とは云えなかった。
ダムを管理する中国政府・水利部は2008年から潜在的に危険性の生じているダムの補修工事を始めており、2011年までに特に決壊の危険性の高いものの工事が終了し、あと5年ですべての補修工事を完了させる予定であると述べている。
実は1975年に淮河にかかるダムが複数決壊し、1000万人以上が被災、死者26万人の大惨事を起こしている。
すでに寿命が来ていると見られる4万カ所以上のダムが簡単な補修で安全になるとは考えにくい。しかも工事は突貫で行われており、汚職構造から来る手抜き工事の恐れが多分に考えられる。これは中国のインフラ工事につきまとう本質的な問題である。
幸い近年降水量が少なく、渇水状態が続いているため、ダムが満杯になる事態は避けられているが、日本でもゲリラ豪雨や一地区への長期間の集中的豪雨が発生している。中国でもそのような事態はあちこちで起こりうる。これによりダムが決壊するような事態になると、その惨事は高速鉄道などとは桁違いの大規模で致命的なものになりかねない。
ダムの下流にある大都市、中都市はかなり多いのだ。
« 土屋賢二著「簡単に断れない。」(文藝春秋) | トップページ | 二日ほど休みます。 »
コメント