中国ウオッチ・リビア
リビアの国民評議会は、カダフィ政権が首都トリポリを失う数週間前に中国から武器を購入していたようだ、と発表した。
トリポリの高官が棲んでいた住居跡からカダフィ政権の文書が見つかり、それによれば7月に武器2億ドル相当の売買契約が結ばれており、アルジェリアや南アフリカ経由で運ばれることになっていた。
国連の安全保障理事会は3月にリビアへの武器輸出を禁止する決議を採択している。もしこの文書の内容が事実なら中国はこの決議に違反していることになる。
これに対して米国は確認中としている。
また国連のリビア制裁委員会はそんな事実はあり得ない、と否定的な見解を示しているという。
中国は北アフリカに約3万人を送り込んでインフラ整備の国際協力を行い、その見返りに資源や食料を入手するべく活動を行ってきたが、今回のジャスミン革命でほぼ全員引き上げた。リビア中心に中国が失った権益その他は実額2~3兆円に上ると見られる。
中国は相手が独裁政権か否かに斟酌なく資源外交などを行っているのでその政権が倒れるとその国に反発が残るようなことが起こる。またインフラ整備の協力にしても労働者は中国人を送り込んで行うのでその国の雇用に全く寄与しない。国民に恩恵がなければかえって反発を生むこともある。日本が韓国に行ったODAのようなものだ。
今回の件についてはどの国も中国に気を遣って追求することなしにうやむやになるような気がする。
もちろん中国が認めるはずはない。新たな局面に対しても北アフリカ各国の新政権に対してしたたかな外交を再開することだろう。どの国も金がほしいはずだからそれを拒否するはずがない。
その後中国政府の外務省報道官は、カダフィ政権の関係者が7月に中国を訪問して中国の兵器製造業者3社と接触していたことを認めた。しかしその件には中国政府は一切関与していないし、武器売却の契約や輸出をした事実はない、と明言。中国は国連安保理の決議を遵守している、とのことである。
リビアの反カダフィ派の「国民評議会」はその後、東欧諸国や西側諸国の企業がカダフィ政権に武器を提供していた証拠がある、と発表した。いずれも同じ穴のムジナなのだ。これで中国は安心してしらを切ることが出来る。中国も掛け値なしに大国になったものだ。
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