中国ウオッチ・白馬の王子
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルが「中国は、苦しむ欧州娘を救う白馬の王子ではない」という記事を掲載した。
イタリアの高官が中国の投資会社の責任者にイタリア国債の購入依頼をしたと伝えられるなど、欧州各国の中国の救済への期待が高まっているが、中国がユーロ建てのイタリアやスペインなどの国債を増やす証拠はない、これだけリスクの高い国債を中国が購入する意義は見当たらないから、というものだ。
中国政府は3兆1900億ドルの外貨準備を持ち、今年上半期だけで2470億ドルの海外投資を行った。下半期に同額をイタリア国債に投資すれば、期限の迫っているイタリア政府の債務をすべて充当できるという。2010年にはスペイン国債を5億ドル分購入している。またギリシャへの支援も約束している。
ウォール・ストリート・ジャーナルは単に経済的な損得で中国の行動を予測しているのだろうか。現在のユーロ圏の危機は今単に国債を引き受けると云うことで一時的に息がつけても本質的に解決すべき問題が解決するわけではないと云っているようにも読める。
中国は19世紀以来欧米列強の浸食を受けた。日本が加わったことでさらに国はずたずたにされた。そのトラウマは経済的な合理性だけでは測れない考え方や行動を産み出す。
ヨーロッパに対して発言権を高め、優位に立つというチャンスは中国にとって夢のようなことであろう。同時に冷徹な経済性も考慮するだろうが、アメリカのような短期的な視点でものを見ている国ではない。最大の効果を狙った支援を行う可能性が大いにあるとおもう。
アメリカは、中国のユーロへの支援でアメリカ国債の引き受けが縮小乃至停止につながることを内心では非常に恐れているであろう。この状況も中国にとっては快感であろう。
それこそアメリカ国債を売ってユーロ債を買う行動を示唆するだけでアメリカは恐慌を来すことは明らかだ。アメリカの属国扱いに慣らされた日本には決して出来ないことであるが。
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