中村樹基著「ファントム・カーニバル」(角川書店)
著者は「世にも奇妙な物語」のライターである。
18年前に失踪した兄の死体が、東北の地図にも載っていない村で発見される。その村を訪ねた主人公は、奇妙に優しい村人たちに迎えられる。その村の奥には昔鉱山があり、その名残か、整った町並みと大學跡が残されていた。
なぜ兄はここで死んだのか。そのつもりが無かった主人公も、いつしか村の謎を調べ始めていた。この村には18年に一度「闇(くらがり)祭」という奇妙な祭りが催される。その内容は村人以外一切知らされていない。
その祭りの日に向かって事態は急展開していく。
暗闇の見えない世界が映像的に語られていく。クライマックスに向けてのグロテスクな様子は江戸川乱歩の世界を思い出させた。
こういう話が好きな人にはたまらない世界かもしれない。時々はちょっと覗きたくなる。
ただ文章としてやや違和感を感じるのはどうしてだろうか。偉そうに言って申し訳ないが、書き飛ばしすぎていて雑な感じなのだ。現実とは違う別の世界の話としてはかえってこれでいいのだろうか。
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