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2011年9月28日 (水)

映画「レッド・ブル」を見る。

1988年アメリカ映画。ウォルター・ヒル監督。主演・アーノルド・シュワルツェネッガー。
主人公はソビエト憲兵大尉。ソビエトの体制が揺らぎ出すさなか、コカインを国内に持ち込み、拡販しようとする犯罪者をあと一歩のところで取り逃し、しかも同僚を失ってしまう。やがて犯人は微罪でアメリカで身柄を拘束され、コカインの供給元であるアメリカに逃亡していたことが分かる。その身柄を引き取りに言った主人公が、異なるカルチャーに動じることなくやりたい放題をやる映画である。
この映画が作られたのが1988年、ベルリンの壁崩壊は翌年の1989年、ソ連崩壊は1991年である。この映画でクレムリン宮殿周辺の閲兵式のシーンが見られるが、この映画が作られたときにはそんなにすぐそばに歴史の転換点があることは誰も知らなかったのだと思うと、何となくおもしろみを感じてしまった。
ソ連という異国から来たスーパーマンの活動により、アメリカの病理、人権主義の建前の陳腐さなどが鋭くえぐり出される、と言うのであると映画に深みも出るのだろうが、それらしい体裁があるだけに終わっている。内田樹先生の指摘で気がついたが、この映画でもアメリカの女性はものとして扱われ、ぼろ切れのように投げ捨てられている。
これは本質的なアメリカの病理かもしれない。

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