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2011年9月22日 (木)

塚本靑史著「春申君」(河出書房新社)

春申君は中国・春秋戦国時代の末期、楚の国の令尹(宰相)を務めた黄歇(こうあつ)の尊称。孟嘗君、平原君、信陵君とともに戦国の四君と称された。当時、秦の台頭で、各国は合従連衡策などをもってこれに対抗し、生き延びる術を探っていた。
同盟を結び、切り崩され、また裏切られ、と言う権謀術数の渦巻く中で、力も信望もありながら王になろうとせずに信義を貫いた者をひとは「君」と呼んだのだ。
この小説は黄歇の成長と交友を通して戦国末期の歴史を語る物語である。信義に傾きすぎる者は悲遇に倒れ、欲に奔る者は我が身を滅ぼす。黄歇の地道な活動で楚の国も小康を保つが、それは一時的なものに過ぎなかった。彼の死後、秦は着実にひとつずつ他国を滅亡に追い込み、時ならずして中国は統一される。秦の始皇帝の時代は目の前なのだ。
中国に関連した小説は目につくと購入して読む。だから塚本靑史の本もずいぶん読んだ。ただ何となく肌合いが合わないところがあって読みにくく感じる。だから他の本より読むのに時間がかかる。好みの問題かもしれない。

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