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2011年9月27日 (火)

内田樹著「ためらいの倫理学」(角川文庫)

この本は実質的な内田樹先生のデビュー作である。この本には知的な快感が満ちている。それなのに文庫でわずか650円で購入できる。本を読んで得られるものに較べて安くて申し訳ないくらいだ。
この本では戦争・性・物語について語られている。今まで誰もが語ってきたことを誰も語ったことのない語り方で語る。そこに新しい考え方と語り方が提示されている。
自分がいろいろなことについて自分の意見として語っていたことがどれほど他人の意見と言葉の受け売りだったかが強烈に思い知らされる。
それと同時に世の中のいろいろなコメンテーターの意見に対する違和感がなぜだったのかが見えてくる。おかしいと感じていることこそが実は真当かもしれないことが分かったりするととてもうれしい。
先生は思想のセントバーナード犬を自認する。迷路に踏み迷った人をかついで救うことは出来ないが、首にくくりつけたラム酒で元気づけてくれる。自力で頑張って迷路から脱出するのは自分自身だ。
おもしろくて一気読みしてしまったが、あらためて一章ずつ丁寧に読み直して、自分の言葉に書き換えてみたいと思う。

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