逢坂剛著「カプグラの悪夢」(講談社)
この本は逢坂剛の調査員・岡坂神策シリーズの短編集。
ある人物が同一人物か別人かという調査のうちに、過去の夢遊病が原因と思われる殺人事件の真相にたどり着く話。第二次大戦中にカチンの森でポーランド将校多数が虐殺されていた事件を扱ったもの。そのほかそれぞれに興味を引かれる物語展開のあと、もう一つ違う解釈もあり得ることをにおわせて余韻を残す。最後の「過ぎし日の恋」が読後感が良くて、人間が信じられる気持ちにさせてくれた(私はひとのこころの闇を暴く話も好きだが、ほっとするようなやさしい話も好きだ)。
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