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2011年10月 1日 (土)

中国ウオッチ・北京事務所

昨年1月、国務院弁公室は県級政府や地方関連機構の北京駐在事務所を撤去する法令を発表した。これに基づき昨年11月には625カ所の事務所を撤去した。もちろん新設は認められていない。
ところがマスコミの取材によると法令にもかかわらず、撤去したはずの北京事務所が「潜伏」したかたちで全くなくなっていないことが分かった。しかし管理機構はその問題に気がついていないのか、全く手を打っていないという。
そもそも北京駐在事務所の役割とは何か。企業と資金の誘致、各地の政府との取り次ぎ、陳情者への対応、というのが建前である。しかし実際は賄賂と北京中央政府の官僚との取り次ぎが大きな役割なのである。
北京中央政府は大きな権限を持っている。官僚が法律と規則に則って公明正大に仕事をしていれば、そもそも北京駐在事務所は不要であるし、もし事務所があったところで問題視されることはない。
たびたび言及しているが、中国は権限と利権は裏表の国である。
権限にふさわしい賄賂が渡らなければ何事も前に進まない。地方政府は中央の許認可がなければ出来ないことが多い(日本と同じだ)。
また中央が地方に対する税収入還付金と移転支出は2010年度でなんと3兆611億元という膨大な金額になる。各地方にとってのどから手が出るほど分け前がほしい。
過剰投資による地方債の野放図な発行がつづき、ついに来年あたりから償還が始まるのにその金がなく、破綻必至の地方はかなりの数に上る。金がないからますます袖の下が動いて何とかうまくやろうとする。ついでに自分の懐も潤そうという連中だらけなのだ。
観念的に存在悪を禁止しても実際はどうしようもないことに気がついているから手を打っていないのだろう。中国の病理の根は深い。

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