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2011年10月 3日 (月)

ウォール街のデモ

若者達がインターネットなどで呼びかけ合ってウォール街にデモを繰り返し行っているニュースが報道されている。
貧富の差や高止まりしている失業率に不満を抱くひとたちが、原因は金融界にあるとして「ウォール街を占拠せよ」のスローガンのもとに結集しているらしいが「ウォール街を占拠」することで何が達成できるのだろうか。彼等の運動が功を奏して、ウォール街が機能不全になると貧富の差が解消されて失業率が改善されるのだろうか。
「ごく一部の豊かな暮らしをしている富裕層に対する敵意」がこの運動の原因だという論評を見たが、この富裕層こそがアメリカンドリームではなかったのか。
テレビでアメリカの貧困層の人が取材に応じて、自分がいかに不幸であるのかを蕩々とまくし立てているのを見るが、みんなまるまると太って結構広々とした住宅に住んでいる。
アメリカは第二次世界大戦後、世界の富を集めてどこの国よりも豊かな暮らしを満喫してきた。当然、彼等が豊かなぶん世界の誰かが貧しかった。そしてその貧しかった人々が少しずつ貧しさから脱却してきた。だからアメリカは昔のように豊かなままでいられるはずがない。
日本人もそうだが、一番良かったときと比較して今が貧しくなった、と嘆いても仕方がないことに気がつかないといけない。
今は不景気などという一時的な状況ではないと思う。世界が平均化し、しかも人口の増加によってひとりあたりの分け前が減少せざるを得ない時代になったのだ。世界が全体として豊かになったことをこそまず祝福すべきだろう。
ウォール街を占拠しても世界は変わらない。多分ウォール街はアメリカだけが豊かであるための仕掛けだった。それを機能停止させてもアメリカの豊かさの崩壊を加速するだけだ。でもそれはもしかしたら世界にとって結果的に良いことかもしれない。デモはそこまで考えての行動なのだろうか(そんなはずはない。正義のためといいながら、人は普通自分のことしか考えていないから)。
シュペングラーではないが「西洋の没落」(歴史哲学者シュペングラーはヨーロッパに対してアメリカやロシアが台頭したことを西洋の没落といったのだが)が始まったのか。いや、すでに進行しつつあるのだ。

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