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2011年11月30日 (水)

森福都著「狐弟子」(実業之日本社)

中国唐代を舞台にした奇譚集。短編が7編収められている。初版は2005年で、買ってすぐ読んだが、おもしろかった記憶はあるものの印象が薄かった。今回じっくり読み直して大いに楽しめた。森福都は「長安牡丹花異聞」で松本清張賞を取っている。これもなかなかおもしろい本だった。
表題の「狐弟子」が特にいい。体の貧弱で生白い少年・馬孝児が、長安の荒れ寺にすみ、狐の化身と言われる毛潜の元に「狐になりたい」と弟子入りを志願する。毛潜は一目見て「狐はおろか鼠にもなれまい」と思うが、「身の回りの雑用をさせるためにひとりぐらい小者を置いてもいいか」と考えて弟子にする。
毛潜の元には彼に不思議な力があると信じて、人々が進退窮まった難問を持ち込んでくる。
孝児は必死で雑用をこなしながら、毛潜の元に持ち込まれる問題を師匠がどう解決するのか必死で見ている。毛潜は少しずつ孝児に問題解決の手伝いをさせていく。
どちらかと言えば適当なことを言って成り行きで取り繕っていた毛潜が、孝児がきてから紆余曲折はあるものの問題が旨く解決できるようになる。偶然なのか何かの力が働いたのか。
狐になることを懇願する孝児に理由を尋ねるがなかなかその理由を明かさない。しかしついに孝児は、自分は今年一年の寿命であると告げられており、自分の死後残される母親のために狐になってあるものを残したいから、と話す。
毛潜はある事件解決に際し、孝児の「あと寿命は一年」という呪いを払ってやる。そうして孝児も少しずつ成長していく。「狐になる修行が楽しくてしようがありません」と孝児は明るく胸を張る。毛潜は「もう孝児は立派な子狐になった」と思う。
はたして毛潜は狐なのか。最後まで分からない。
ほかにも化身、幽鬼、卜占など不思議な話が楽しめます。

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