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2011年11月29日 (火)

乾緑郎著「忍び秘伝」(朝日新聞出版)

前作「忍び外伝」は文句なくおもしろかった。この「忍び秘伝」は前作より伝奇色がかなり強い。好みが分かれるかもしれない。前半は物語の展開が少し飛びすぎていて脈絡がつかみにくい。シーンの切り替わりが急すぎるのだ。
寅王丸が主人公だと思って物語を追っていると著者の筆は彼に冷たい。中盤からやっと主人公が小梅という少女であることが分かってくる。前半部は後半への膨大な伏線なのだ。加藤段蔵という忍者となった寅王丸がどのように育ったのか、そして山本勘助との関わりをもう少し書き込んでいたらずっとわかりやすくなるはずなのだが。謎を明かしたくないためとはいえ隠しすぎではないか。
山本勘助や武田信玄についてこちらの持っているイメージとあまりにも違う造形なので違和感が強い。全く違う物語として読めばいいことかもしれないが、史実に離れすぎてはリアリティもなくしてしまう。脇役の造形をおろそかにすると物語が薄っぺらになる。
伏線が多かっただけ、最後になっての展開はおもしろい。おもしろいのはたぶんこうではないか、と読者に予想させ、その通りの展開をした上に、なるほどそうか、と思わせる意外な絵解きを見せてくれるからだ。何を言っているか分からないだろうが具体的なことをあかすとネタバラシになってしまうからだ。ただラストの作者があっと言わせたかったところはほとんど最初から私には分かってしまったけどね。
出来は60点くらいか。かろうじて合格。甘すぎるだろうか。次に期待しよう。

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