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2012年1月18日 (水)

孫子の兵法

Photo_2 敦煌故城。これは映画「敦煌」のために作られたもの。中国の古代のドラマや映画ではしばしば使われる。

 中国ドラマ「孫子の兵法」全35話を一気に見た。昨年WOWWOWで放映していたものをまとめて録画しておいたものだ。
 2500年前、中国・春秋戦国時代、斉の国から逃げのびた兵法の天才孫武が呉の国で登用され、呉楚の戦いに戦功を上げるが次第に戦いの空しさを知り、戦いの場から身を引いていく、という物語である。
 有名な「孫子の兵法」を著した人であり、戦略家、戦術家として知られるが、真意は、戦わずに勝つことにあったと云われる。
 その時代の呉の国と云えば、「史記」で有名な呉越の戦いが思い浮かぶが、このドラマでは呉越の戦いは最後の30話以降で、それ以前の楚との戦いに主力がおかれている。だから当然伍子胥(ごししょ)と楚の国との因縁が大きく関わってくる。
 孫武が呉王闔閭(こうりょ)に用兵の能力を試され、宮廷の官女たちを指揮する話は有名である。その際に隊長として任命した闔閭の愛妾二人を軍紀違反で斬殺する。この斬殺された愛妾の一人に妹がいて、孫武を恨み命を狙うが、ついには孫武と運命をともにするというヒロインになっている。もちろんこの女性はフィクションだ。
 楚の国で父と兄を殺された伍子胥がどのように国を脱出したのか、そしてその恨みがなぜあれほど強いのか、があまり描かれていないので(みんな知っていることだからだろうか)、伍子胥が死んだ平王の墓を暴いて屍をむち打つ場面に迫力がない。もっと鬼気迫り目を背けたくなるようでないと迫力に欠ける。
 などと云っていたら全編にクレームをつけなければならなくなってしまう。とにかく中国の歴史ドラマの凄いのは動員数だ。もちろん映像操作もあるだろうが、あのものすごい人数が画面一杯に展開するとそれだけで興奮する。
 いつも思うが中国の時代ドラマはこちらの英雄たちのイメージと合っていたためしがない。嫌がらせかと思うほど考えられない俳優が割り振られている。このドラマでも伍子胥の役を演じている俳優はすばらしいのだが、絶対に史記にある伍子胥はあんなイメージと違う。
 今回はほとんど倍速モードで見た。これなら字幕も読めるしセリフも聞こえる。忙しいときに長いドラマはこれに限る。
 まあいろいろ難点があるが物語としてはとりあえず面白かった。歴史の勉強には成らなかったけれど。

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