映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」
期待しないで見た映画だったが、すばらしく面白かった。ストーリーが優れているうえ、物語の展開の仕方がうまい。観客が馬鹿ではないことをよく分かって映画が作られている。映像とセリフだけでは物語がつながらない。観客が自分でカットのすき間を繋いで見ていくように出来ている。観客はしつらえられた舞台の中に入り込まざるを得ないのだ。
2009年スエーデン・デンマーク・ドイツの合作映画。監督・ニールス・アルデン・オプレヴ、出演・ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス他。原作・スティーグ・ラーソン(スウェーデンの推理作家)のミレニアム三部作の第一部に当たる。
ミレニアムというのは舞台になったスウェーデンの雑誌の名前。主人公のミカエルはその雑誌の発行責任者だが、追求していた実業家の罠にはまり名誉毀損の罪で有罪となる。実刑執行までの半年の猶予期間の間に、ある人物から40年前に失踪した(関係者はみんなすでに殺されたと考えているが死体が発見されていない)少女の調査を依頼される。
題名のドラゴン・タトゥーの女というのはたまたま調査会社のアルバイトでミカエルの身辺を調査した、パンクファッションのピアスだらけの女である。彼女はミカエルのパソコンをハッキングしたが、その後も興味本位で覗いていたとき、この調査のデータを見る。そしてミカエルが気がつかなかった在る情報を発見し密かにミカエルに連絡する。
結局このパンクファッションの女・リスベットを助手として調査を進めることになる。このリスベットが不思議な魅力を持つ女で、演じているノオミ・ラパスはヨーロッパのいろいろな映画賞に主演女優としてノミネートされた(残念ながら受賞しなかったようだ)。
最初はなんのことはない調査だったはずが、真相が分かるにつれておぞましい犯罪の事実が浮かび上がって、彼等自身にも身の危険が迫ってクライマックスに到る。
スウェーデンだからかどうか知らないが、かなり露骨な性描写があるが、これがある意味で事件の伏線にもなっている。
繰り返すが中身の濃い、記憶に残る映画だった。ミステリー好みの人に絶対お勧め。
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