小谷野敦著「友達がいないということ」(ちくまプリマー新書)
「もてない男」以来ユニークな切り口で、自分をさらけ出してテーマを真摯に論じる著者の本はけっこう人気があるようだ。「もてない男」を自称しているのに結婚したので「裏切り者」とジョークで非難されていたりするが。
「友情論」については古来幾多の本が書かれているが、著者は代表的なものをいくつか取り上げて、友達が出来ない人について書かれているものがない、友達が出来ないのでどうしたら友達が出来るか知りたいと思ってそのような本を読んでも何の役にも立たない、という。自分には友達がいない、とか、友達がほとんどいない、と書かれている本を読んでも、実は書いた人間にはけっこう友人がいる場合が多く、友達の出来ない人の参考になりにくいようだ。
だからこの本を読みなさい、ということではない。この本を読んでもどうしたら友達が出来るか書いているわけではないからだ。ただ友達が出来ない人というのが現にいること、それはあなただけではなくて私もそうだよ、というメッセージを伝えて慰める本なのだ。だからこの本の帯には「ひとりでも生きていける」とある。
余談ながら幸い私には、相手がどう思っているか別にして、友達がいる。
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