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2012年1月26日 (木)

映画「アフリカの女王」

 1951年アメリカ・イギリス合作。監督・ジョン・ヒューストン、出演・ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘプバーン。この映画でハンフリー・ボガートは念願のアカデミー賞主演男優賞を取った。
 「アフリカの女王」とはハンフリー・ボガート扮する英国人の飲んだくれ、チャールズ・オルナットの持っているぼろ船の名前である。時代は第一次世界大戦勃発の年、舞台は東アフリカ。キャサリーン・ヘプバーン扮するロージーは、兄の宣教師とともに奥地の村でキリスト教の伝道活動をしていた。ドイツ軍の侵攻はこの村にもおよび、村は焼き払われ、住民は連れ去られてしまう。兄の宣教師は失意の果てに死んでしまい、ロージーは一人残され途方に暮れる。そこに様子を見に来たオルナットが現れ、二人はアフリカの女王に乗ってドイツ軍から逃れるのだが、なりをひそめて戦争が終わるまで隠れていようというオルナットに対して、ロージーは川を下ることを主張する。
 川には急流など難所があり、途中にドイツ軍の哨戒所もある。さらに川は湖に注いでおり、そこにはドイツ軍の砲艦が待ち受けているという。しかしその砲艦さえ居なければイギリス軍の支配しているところに行けるのだ。アフリカの女王には爆薬がたくさん積んである。ロージーはドイツ軍の砲艦をそれで撃沈しようという。アフリカの女王そのものを魚雷に仕立てようというのだ。
 急流というのが半端ではない、また哨戒所の銃撃も受けるが、その艱難辛苦よりも困難を極めたのは、蘆の原に迷い込んでしまい浅瀬で立ち往生したときである。しまいには川に入って自ら船を曳くが、出口は見えず、オルナットは毒ヒルに襲われて倒れてしまう。万事休すかと云うときに神の加護があり、ついに湖に出ることがかなうのだが。
 信仰深いが故に融通の利かない中年女性(宣教師の兄の言葉によれば不美人)のロージーと、飲んだくれのオルナットの心が、苦難を一つ乗り越えるごとに近づいていき、やがて信頼に、そして愛に変わっていく。
 ロージーがひとりぼっちになったところにオルコットが様子を見に尋ねてくる最初の頃のシーンがすばらしい。この場面でもう映画を見ている人は二人の将来を確信するだろう。どのように気持ちを表したらいいか分からないロージーはオルコットの姿を遠くに認めながら手元の糸巻きに糸を巻きだしたりする。そういう細部に、気持ちの動きを表す演技が無数にあってすばらしいのだ。
 良い映画だ。

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