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2012年1月21日 (土)

「清末見聞録(清国文明記より)」・国子監

 文廟の傍らに国子監(こくしかん)がある。つまりいにしえの大学である。乾隆帝五十年ここに辟雍(へきよう)つまり大学を立て、その年二月上丁(じょうてい・陰暦二月初めの丁(ひのと)の日)天子が親臨して釈奠(せきてん・牛、羊、豚などを供えて祀ること。特に孔子を祀ることを云う)の礼を行い、みずから学を講じたことがある。その学生は府州県に設けられた国学から選抜された者たちである。新しい学校がまだ興っていなかった時代は、大学は最高教育の府であったが、近年は京師(けいし・帝都)大学堂を初めとして各種の学校が設立されて、学生は皆一斉に新しい学校に行ってしまい、壮麗な壁雍はその残骸だけが残るのみとなってしまった。
 例の門番に若干の銭を与えて裏門から中に入る。後堂には康煕・乾隆以下歴代天子の御筆が多く、堂の右には石造りの日時計が安置されている。中央に壁雍がある。全ていにしえの遺制にしたがい池を巡らせてある。宮中には乾隆帝臨幸の時の玉座が昔のまま設けられてあるが、塵芥が一寸あまり(3cm以上)も積もっている。東西の軒下の通路には乾隆時代に建てた「十三経」を刻んだ石碑が数十枚建ててある。これは漢代に始まった石経のしきたりを模倣したものである。

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