佐伯泰英著「東雲(しののめ)の空」(双葉文庫)
居眠り磐音シリーズの第38巻。田沼一味の画策で、師であり、義父でもある佐々木玲圓を失い、江戸を離れていた磐音たちがついに覚悟を決めて戻ってくる。もちろんおこんさんと息子の空也も一緒である。江戸には両替商の今津屋の好意で住まいも道場も準備されていた。
今回は江戸を離れていた約3年の間のそれぞれの消息と再会が話の主題である。なつかしい人達との再会にちょっと胸が熱くなる。その中に佐野善左衛門が登場する。この人物が系図の貸し借りを巡って田沼家と諍いを起こし、城中で刃傷沙汰を起こして田沼意次の息子である田沼意知を刺殺するのは史実である。この事件をきっかけに田沼意次は失脚していくのだが、だから磐音を巡る状況も急展開をするはずだ。先走るが楽しみだ。
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