池田晶子著「考える日々」(毎日新聞社)
この人の書いたものに心酔している人もいるらしい。たくさん本が出ている。哲学エッセイというジャンルにくくられる文章を書いていた。過去形で云うのは、2007年に腎臓ガンで46歳という若さで死んでしまったから。本の扉を見ると顔写真がある。美人だ。ネットで調べると若いときはモデルをしていたという。
どんなことを書いているのか興味があったので読んでみたが、ごめんなさい、全く得るところがなかった。退屈で何度か投げ出したくなったが、もしかしたら今に何かあるのではないかと思って頁をめくっていたら読み終わってしまった。タマネギやらっきょうの皮をむき続けて種を探したようなものだった。
ソクラテスの「自分には知らないことがある、ということを知っている」という言葉を手がかりに思索を展開しているが、それは出発点の話だ。彼女の文章は始発駅からいつまで経っても出発しない。始発駅から景色を眺めながら読者に向かって「私は出発駅にいる、あなた方は駅がどこにあるかすら知らない」と言い続けている。
私は列車に乗って初めての景色を見たい。私の駅の場所は別にある。
« 二千万人突破 | トップページ | 「清末見聞録(清国文明記より)」・国子監 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『パイプのけむり』(2024.09.13)
- 戦争に当てる光(2024.09.06)
- ことばと文字(2024.09.05)
- 気持ちに波風が立つような(2024.09.02)
- 致命的欠陥(2024.09.01)
コメント