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2012年1月27日 (金)

中国ウオッチ・偶像崇拝

 北朝鮮で金正日が死んだとき、国民が嘆き悲しむ様を見て、中国国民はかつて毛沢東が死んだときの自分たちを思い出したという。個人崇拝を強要され、心にもないオーバーな身振りで泣き叫ばなければ身の危険があったあの時代の苦い思い出だ。
 今の中国人はもうそんなことは強要されないし、よほどあからさまな体制批判さえしなければ自由にものも言える。毛沢東についても悪いところもあった、と言う程度には批判できるようになっている(はずだ)。
 ところがチベットでは旧正月の前日(1月22日、つまり大晦日)にラサの共産党庁舎で領袖様の描かれた巨大な像の除幕式が大々的に行われたという。領袖とは毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤のことである。
 さらにこの領袖像が印刷されて各家庭に配布された。現在チベット人の人口は三百万人といわれるが、なんと百万枚が配られた。これは少なくとも各家庭に一枚以上であり、各家庭で壁にでも貼って拝めとでもいうのだろう。
 現在チベットでは独立運動を押さえ込むために5人以上が集まっただけで逮捕連行されるという北朝鮮のような様相であり、それに抗議して焼身自殺が相次いでいると漏れ聞く。抗議する手立てはそれしかないとまで思い詰めているのだ。
 その気持ちを逆なでするこのような行事の挙行は、チベットを統治する上では逆効果となっているだろう。もともと胡錦濤はすました顔をしているが、チベットの弾圧支配に成功したことを江沢民に評価されてのし上がってきた男である。後継者たちが同じやり方を踏襲するのは当然だし、北京政府もそれに対しては賛同こそすれ緩和策を指導する可能性はない。
 中国ではチベット問題についてはほとんど情報が開示されていないので、チベットは中国領であることはよく承知しているが、チベットが北朝鮮のように個人崇拝を強要され、抗議行動が相次いでいることはあまり知られていない。別の国の北朝鮮に眉をひそめる前に、自分の国(本来はチベットという独立国のはずだが)の中にまだ偶像崇拝を強要されている場所があることを中国国民は知って欲しい(実は知っているが、知らないことにしているのかもしれない)。

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