自家製のくさや?
冷蔵庫の中がしばらく前から異臭がしていた。2週間くらい前に買ったあじの開きのにおいであることは分かっていた。大きめの脂ののった開きなのでとても旨かったが、その残りだ。捨てかねているうちに時間がたった。カラカラに乾いた小さな開きならどうということはないが、水分があるから自家分解が進んで異臭がするのだ。
くさやの干物をご存じだろうか。名前は知っていても食べたことのない人の方が多いだろう。ましてや作っているところを見たことのある人はさらに少ないと思う。テレビで見たが、今はかなり衛生管理されているのでにおい以外は驚くようなことはない。昔はすごかった。生まれ育ったところが九十九里浜に近かったので五、六十年前の天然の作り方を知っている。大きな桶に濃い塩水と新鮮な魚のはらわたを大量に入れてさらに何十年と使い込んだくさやの汁を入れる。ぬか漬けの床みたいなものだ。これに開いた魚をしばしつけてから天日で干すのだ。タンパク質は急激に自家分解してアミノ酸となる。これがうまみの元である。ただし同時に強烈なアンモニア臭がする。この臭気とうまみとの相乗効果がくさやの神髄である。食べられる人と絶対に無理な人にはっきりと分けられる食べ物だ。しかも昔のくさやの桶はどろどろになった魚のはらわたの汁で異様な色と強烈なにおいがする。まあ今では見かけなくなったが、むかし田舎でよく見かけた肥たご(大きな桶を地中に埋め込んで糞尿をためておき、発酵させて肥料にするその桶のこと・しばしば子供が夢中で遊んでいるうちに落ち込んで、悲劇的なことになった)と同じ外観だ。
そんなにおいに近いにおいがし始めた開きを見てしばし考えた。結論は、たぶん旨いに違いない、だった。もちろん焼いて昼に食した。期待したほどではないがそれなりの複雑な味がした。これで何か腹痛などの不都合がなければ次の報告はしない。
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