仲正昌樹著「なぜ『自由』は不自由なのか」(朝日新聞出版)
副題『現代リベラリズム抗議』として24講にテーマを分けて「自由」について論じている。かなりまじめな本で、哲学や政治学の文献からの引用も多く、歯ごたえがある。
私の妄想によれば、自由とは無重力みたいなもののようだ。ものには質量があり、引力がある。他者との関係が生ずれば互いに引力が生じ、重力が生じて無重力ではなくなる。人は一人では生きていけない。無人島に一人でいても自然があり、生きるための生活がある。
完全な自由を求めても、そんなものはそもそもあり得ないのだ。自由を求めれば求めるほど不自由になるという、実は当たり前のことをこの本は徹底的に明らかにする。
自己決定と自己責任についての詳細な分析は秀逸だ。じっくりと考え直してみたいテーマである。
全般的に少し集中力に欠ける読み方をしてしまったので、淺読みになった。やや文章のリズムに私と合わないところがあって・・・というのは言い訳か。
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