布団を干す
映画「阿弥陀堂だより」の中に主人公の売れない小説家(寺尾聰)が恩師を訪ねるシーンがある。恩師(田村高廣)は庭に干してある布団を棒でたたいている。恩師は「晴れていたなら何をおいても布団を干せ」といって笑う。そしてその棒をゆっくりと振って主人公に突きつけるような仕草をする。そのときその棒は木刀になっている。反りもないただの棒で、塗ってあるのか元々木の芯の硬いところで作られているのか、黒っぽい軽そうなただの棒なのだが木刀に見える。
これが伏線になり、ラストの神社の祭礼での剣舞につながっていく。忘れられないシーンだ。
ここで恩師は主人公に後事を託したのだ。このシーンの時点では恩師が病気で余命幾ばくもないことは、見ている人には明かされていない。しかし並々ならない気迫のようなものがその瞬間感じられるのだ。
恩師が死ぬとき、臨終を小説家の妻(医師・樋口可南子)が看取る。そして後で主人公にいう。「先生は自分で息を止めたみたいだ」。
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