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2012年2月14日 (火)

クレイグ・トーマス著「救出」

 著者はイギリスの中堅冒険小説家。帯には野獣の感覚を持つ戦闘力抜群の男、としているが、主人公はイギリス情報部を退任してしばらく経って少し腹回りの贅肉がついてしまった男だ。過去は切れ味鋭かったかもしれないが、今はもう過酷な任務などしたいと思っていない。その男の元に情報部のトップから臨時の仕事としてインドでの調査の依頼がある。普通なら断るところだが、主人公が昔命を助けられた人物に関わることであることから、義理で引き受けることになるのだが。

 インドが舞台の冒険小説はいくつかある。インドは混沌の世界で当たり前の解釈など寄せ付けない。その不定形でどろどろしていてごちゃごちゃしている世界をもっともよく表していたのが「カーリーの歌」という小説だった。インドの闇の中にはまり込んだ恐怖が全編に漂っていて、思い出すだけでその恐怖がよみがえるというすさまじい小説だった。

 この「救出」という小説も、主人公はインドの底深い迷路のような世界をひたすら逃げ回り、這いずり回る。一緒に連れて行った中年で小太りの恋人も聡明ではあるのだが別行動の中で感じるその恐怖心はちょっと過剰で、やたらに繊細なので読んでいるこちらまで神経が参ってくる。極限状況がラストのクライマックスまで途切れることなくひたすら続くのだ。この緊張感を楽しめる人はこんな面白い小説はないだろう。600ページを超えるこの本を読み切っていささか疲れた。

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