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2012年2月26日 (日)

「清末見聞録(清国文明記より)」・北京近郊の名勝・十三陵②

 午後三時、
 「湯山」 に達し、関帝廟に入って宿泊した。この地は北京から四十五清里ある。温泉が湧出するので湯山(タンシャン)と名付けられている。清の雍正帝が初めて行宮(あんぐう)を置かれてから、乾隆帝、嘉慶帝、道光帝なども臨幸されたけれども、豊咸帝以後は内には長髪賊の乱(洪秀全が起こした太平天国の乱)があり、外はアヘン戦争などがあって、再び臨幸のことがなかったので、行宮もただ荒れるに任せてある。それなので外人に対してはこの行宮内の温泉に入ることが黙許されている。我々はまず温泉に入ることにした。昔は輪奐の美を極めたであろう幾棟もの建物は、いたずらに風雨に任せて軒は傾き壁は壊れ、草ボウボウとして足が没するほどで、蔦葛が綺窓にまつわり、崩れ落ちた煉瓦が累々として、狐狸の住処もかくやと思われる。その間を通り抜けて奥に到ると、ここに大理石の湯壺が二つ並んでいる。幅は四間長さは六間ばかりで、ともに湯をたたえている。湯壺から少し隔たったところに一つずつ小さな部屋がある。右の方は熱くては入れない。左の方は適温である。浴室は石畳で、湯は無味無臭で清らかなことは玉のようである。一浴すると神怡び(よろこび)気暢び(のび)この楽千金といえども購いがたき感がある。我が国のように温泉に富んだところでは何ら天啓に感じることもないが、北清のような黄塵の地では、特にこの感が深いのである。浴し終わって庭園を見る。所々に仮山があり、松柏が繁茂して、中に小池があり、水がきわめて清らかで遊魚も何匹か見られた。中に小島があり、橋が架かっている。惜しむらくは橋が半ば朽ちていることで、池は蒲葦(ほい・がまとあし)に蔽われている。

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